夜尿症外来

“夜のおしっこ、もう悩まない!!”

当院では夜尿症に関する専門外来を行っています。

夜尿症とは(おねしょとのちがい)

 2歳ごろまでの子どもは毎晩「おねしょ」をすることが一般的で、年齢が上がるにつれて、その頻度は減少します。「おねしょ」と「夜尿症」の違いは年齢がポイントです。乳幼児期(生後1年~5歳くらい)の夜尿を「おねしょ」といいますが、5歳以降で月1回以上のおねしょが3ヵ月以上続くものは「夜尿症」と呼びます。小児期全体における夜尿症の頻度は約6%とされ、わが国では潜在的に約80万人存在すると言われています。一般的に自然治癒が期待できますが、夜尿の頻度が高いほど治りにくく、お子さんや親御さんにとって大きな精神的ストレスをもたらします。生活指導やお薬などの治療によって何も行わずに様子をみるよりも治る割合が2~3倍高くなることが報告されています。

夜尿症に関して知っておいてほしいこと

 夜尿症には、夜間の尿産生機能、膀胱の蓄尿機能、睡眠機能など複数の要因が関わっています。どの要因がより深く関わっているかを見極め、効果的な対応を考えます。

・ 子どもの性格や親の育て方とは関係ありません。
・ 母親の責任ではありません。
・ けっして放っておけば治るわけではありません。
・ (一般的に)夜尿は心身症ではありません。
・ 焦っても治りません。
・ 叱っても治りません。

お子様が夜尿・おもらしでお困りの場合には

 夜尿やお漏らし(遺尿)でお困りの際は、以下を目安にご相談ください。

1.本人や保護者が困っている場合。
 宿泊行事が迫っている。本人が夜尿で悩んでいる。保護者が夜尿で困っているなど。

2.年齢と症状を目安にする場合。
 1)5〜6歳以降で昼間のおもらしと夜尿を認める。
 2)7〜8歳になっても毎晩夜尿がある。
 3)10歳以上になっても週1回以上夜尿がある。

受診について

・専門外来枠の「夜尿症外来」にご予約ください。
・事前WEB問診で、夜尿の状況や生活習慣などについてお答えください。
・もし可能であれば、受診前に夜尿の記録をつけていただけると、その後の診療が大変スムーズになります。その際は「おねしょ卒業プロジェクト」内の「スマイル!こども日誌」をご活用ください(夜尿の有無、ぬれ具合、おむつの重さ、排便の有無などを記録していただきます)

診療について

 問診、診察、検査(尿、血液、レントゲン検査など)から夜尿の原因やタイプを調べます。ごく稀に、器質的な疾患(尿路奇形や発達障害)により夜尿が治りにくい場合があります。また、夜尿の状況を調べるために1〜2週間ほど夜尿の記録をつけていただきます。これにより、夜間の尿量が多い場合や膀胱に尿がたまりにくい場合、寝ている時にちょっとだけ尿が漏れてしまう場合など、様々な夜尿の状況を把握することができます。
これらを踏まえて、生活指導と治療の選択を行います。

生活指導(おうちトレーニング)

 日常生活上の留意点を以下に示します。これを守るだけで改善・治癒する人も少なくありませんので、できる範囲内で行ってみましょう。

・できるだけ夕食は就寝の2〜3時間前までに済ませる。
・夕食に含まれる塩分量を少なめ(うす味)にする。
・夕食後から寝るまでの水分摂取量を少なくする(コップ1杯くらい)。
・その代わり、朝や昼間はしっかり水分をとる。
・寝る前にはおしっこを出し切る。
・排便にも注意する。お腹をいつもスッキリさせておく(繊維をよくとる)。
・夕食後に牛乳、果物、ジュースをとる習慣を見直す(時間帯を早める)。

治療について

 夜尿症のタイプを見極め、生活指導を行った上で、以下の治療を検討します。

1.抗利尿ホルモン
・尿を濃縮させて尿量を少なくする飲み薬です。
・水なしで服用します(舌下で溶かす)

2.アラーム療法
・夜尿した際にセンサーが反応し、アラームが鳴る装置を利用した治療です。
・尿をためる力を改善させます。
・海外では最もポピュラーな治療法です