子どもに多い病気
インフルエンザ
1.インフルエンザとは?
インフルエンザは インフルエンザウイルス(A型・B型)による急性の呼吸器感染症で、通常は冬に流行しますが、近年は季節外の流行も見られます。
突然の高熱と強い全身症状が特徴で、普通の風邪より重く進行が速い病気です。
2.どのような症状が出るの?
代表的な症状は以下の通りです。
・38℃以上の急な発熱
・強いだるさ、関節痛、筋肉痛、頭痛
・のどの痛み、咳、鼻水
・子どもでは吐き気、嘔吐、下痢が出ることもあります
・まれに急性脳症など重症化することがあります
3.診断方法は?
診断は、
・症状
・診察所見
・周囲の流行状況
・迅速抗原検査(鼻咽頭ぬぐい液)
を組み合わせて行います。
発症直後はウイルス量が少なく、陰性でも感染している場合があるため、医師が総合的に判断します。
4.治療法は?
治療の基本は 安静・水分補給・休養。
必要に応じて、発症から48時間以内に 抗インフルエンザ薬 を使用すると、症状の期間が短縮されます。
子どもでは、薬の有無にかかわらず 発熱後2日間は異常行動に注意し見守りが必要 です。
5.インフルエンザ治療薬は?
治療薬投与は全例必須ではなく、「乳幼児」「重症化リスクのある基礎疾患保有児」「呼吸器症状が強い児」で積極的に推奨されます。
症状出現から48時間以内の投与が原則ですが、高リスク群で重症化・症状遷延がみられる場合は48時間以降でも投与を考慮します。
| 年齢区分 | 第一選択 / 推奨薬剤 | 留意点・使用上の注意 |
| 生後2週〜乳幼児(5歳以下) | オセルタミビル(タミフル DS) ペラミビル(ラピアクタ 点滴) | ・経口可能ならオセルタミビル(DS)が標準。 ・経口困難・重症例ではペラミビル点滴を検討。 ・バロキサビルは原則推奨されない(アミノ酸変異/耐性株の出現・排泄遷延リスク)。 |
| 学童期(6歳〜11歳) | オセルタミビル / 吸入薬 (バロキサビルはB型で提案) | ・吸入が確実に行える場合はラニナミビル(イナビル)やザナミビル(リレンザ)が選択肢。 ・バロキサビル(ゾフルーザ)はB型インフルエンザに対して使用を提案、A型への投与は慎重に判断。 |
| 12歳以上の小児 | 各抗ウイルス薬 (バロキサビル含む) | ・12歳以上ではバロキサビル(ゾフルーザ)も他剤と同等に推奨。 ・特にB型インフルエンザに対して高い有効性が示されている。 |
◇子どもでの注意点
- 発熱後2日間は異常行動に注意(薬の種類に関係なく見守りが必要)
- 吸入薬は、年齢により吸入が難しいことがある
- 嘔吐がある場合は内服が難しく、吸入薬や単回投与薬が選ばれることもある
- 乳幼児では、重症化リスクが高い場合に積極的に使用する
- 1回服薬(吸入)で終了の治療薬の場合は、その1回を確実に投与してください(原則的に再処方はありません)!
◇効果のポイント
- 発熱期間を 約1日短縮
- 中耳炎・肺炎などの合併症を減らす
- 高リスク児(乳幼児、喘息、基礎疾患あり)は特に有効性が高い
6.予防法は?
予防の柱は次の通りです。
- ワクチン接種:発症予防・重症化予防に有効(毎年接種が必要)
- 手洗い・咳エチケット
- 適度な湿度(50〜60%)の保持
- 人混みを避ける
- 家庭内ではタオル・食器の共用を避ける、こまめな換気・消毒
7.インフルエンザワクチンについて
現在、小児領域では「不活化HAワクチン(注射)」と「経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト)」の2つの選択肢が存在します。
各ワクチンの特徴と比較
| 項目 | 従来型 HA不活化ワクチン(注射) | 経鼻弱毒生ワクチン(フルミスト) |
| 対象年齢 | 生後6か月以上 | 2歳以上〜19歳未満 |
| 投与経路 / 回数 | ・皮下注射 ・13歳未満:2回 (2〜4週間隔) ・13歳以上:1回 | ・両鼻腔内への噴霧(各0.1 mL) ・年齢によらず 1回 |
| メリット | ・全年齢(生後6か月〜)に広く適応 ・免疫不全児や喘息児にも安全に使用可能 | ・針刺しの痛みがなく小児の受容性が高い ・粘膜免疫(IgA)を誘導し、交叉防御効果が期待できる |
| 接種制限 / 禁忌 | ・特になし(卵アレルギー重症例のみ注意) | ・免疫不全児、重症喘息児、妊婦は禁忌 ・周囲に重度免疫不全者がいる場合は回避を推奨 |
◇ワクチンを使い分けるポイント
- 注射嫌いの幼児〜学童:2歳以上で基礎疾患がなければ、1回投与で済む経鼻生ワクチンの選択が保護者・児ともに負担を大きく軽減します。
- ハイリスク児(気管支喘息、心疾患、免疫抑制状態など):生ワクチンの副反応リスクや安全性を考慮し、従来通り不活化HAワクチンを選択します。
- 他ワクチンとの同時接種:いずれのワクチンも、医師が必要と認めた場合は他の定期・任意ワクチンとの同時接種が可能です。
◇毎年接種が必要な理由
- インフルエンザウイルスは 毎年変異 する
- ワクチンの株が毎年更新される
- 免疫が1年で弱まるため、毎年の接種が必要
8.パパ・ママへメッセージ
インフルエンザは「急に高熱が出てぐったりする」ことが多く、特に小さなお子さんは脱水や呼吸状態の悪化に注意が必要です。
高熱が続く・水分がとれない・呼吸が苦しそう・意識がいつもと違う といった場合は、夜間でも受診をためらわないでください。
ワクチン接種や日頃の予防で、重症化を防ぐことができます。 ご家庭でのケアが不安なときは、早めに医療機関へご相談ください。
