子どもに多い病気
アトピー性皮膚炎
1.アトピー性皮膚炎ってどんな病気?
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が弱くなり、繰り返し湿疹やかゆみが起こる病気です。
皮膚は本来、外からの刺激や乾燥から体を守っています。
しかしアトピー性皮膚炎では、その働きが弱いため、汗や衣類のこすれ、ほこりなどの刺激で皮膚に炎症が起こりやすくなります。
症状が良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、適切な治療によって多くのお子さんは良好にコントロールできます。
2.どんな症状が出るの?
もっとも特徴的な症状は「かゆみ」と「湿疹」です。
年齢によって症状の出やすい場所が異なります。
◇乳児期(0~1歳ころ)
- 頬やおでこが赤くなる
- ジュクジュクした湿疹
- 頭皮のかさつき
- 首やあごの下の湿疹
◇幼児期(1~6歳ころ)
- 肘や膝の内側の湿疹
- 首の湿疹
- お腹や背中のかゆみ
- 掻き壊しによる傷
◇学童期以降
- 肘や膝の内側の慢性的な湿疹
- 首や顔の湿疹
- 皮膚が厚く硬くなる
- 強いかゆみで睡眠が妨げられる
3.なぜ起こるの?
原因はひとつではありません。
以下のような要素が関係すると考えられています。
- もともとの体質
- 皮膚のバリア機能の低下
- アレルギー体質
- 乾燥
- 汗
- ダニやほこり
- ストレス
- 掻くことによる刺激
「かゆい → 掻く → 炎症が悪化 → さらにかゆくなる」という悪循環が起こりやすい病気です。
4.診断や検査は?
◇診断
アトピー性皮膚炎は、主に診察で診断します。
以下の特徴を確認します。
- かゆみがある
- 特徴的な場所に湿疹がある
- 良くなったり悪くなったりを繰り返している
◇検査
診断のために必ずしも血液検査は必要ではありません。
必要に応じて、
- アレルギー検査(IgE抗体検査)
- 特異的IgE検査
- ダニや花粉などの感作の評価
を行うことがあります。
ただし、アレルギー検査だけでアトピー性皮膚炎の診断はできません。
また、検査で陽性だからといって、それが必ず症状の原因とは限りません。
5.治療方法は?
アトピー性皮膚炎の治療の基本は3つです。
①スキンケア
治療の土台となります。
- 毎日入浴する
- 汗や汚れを優しく洗い流す
- 入浴後はしっかり保湿する
皮膚がきれいに見えていても、保湿は継続することが大切です。
②炎症を抑える塗り薬
湿疹がある部分には炎症を抑える薬を使用します。
代表的なものは
- ステロイド外用薬
- タクロリムス軟膏
- デルゴシチニブ軟膏
- ジファミラスト軟膏
などです。
湿疹の強さや部位に応じて薬を使い分けます。
「ステロイドは怖い薬」というイメージを持たれることがありますが、医師の指示通りに適切に使用すれば、多くの場合安全に治療できます。
③かゆみのコントロール
必要に応じて
- 抗ヒスタミン薬
- 抗アレルギー薬
を使用することがあります。
十分な睡眠や生活リズムを整えることも大切です。
◇最近の治療について
従来の塗り薬だけで十分な改善が得られない場合には、
- 生物学的製剤
- JAK阻害薬
などの治療が選択できる場合があります。
重症のお子さんでも症状を大きく改善できる可能性がありますので、治療にお困りの場合はご相談ください。
6.受診する目安は?
次のような場合は小児科や皮膚科への受診をおすすめします。
- かゆみで眠れない
- 保湿剤だけでは改善しない
- 湿疹が広がっている
- ジュクジュクしている
- 掻き壊しが多い
- 市販薬を使ってもよくならない
- 学校や園生活に支障が出ている
- 繰り返し悪化する
早めに治療を始めることで、症状の悪化や慢性化を防ぎやすくなります。
7.パパ・ママへのメッセージ
アトピー性皮膚炎は、保護者の方の育て方やスキンケア不足が原因で起こる病気ではありません。
お子さんも保護者の方も、かゆみによる睡眠不足や繰り返す湿疹に悩まれることが少なくありません。
現在は治療法が大きく進歩し、多くのお子さんが良好な状態を維持できるようになっています。
大切なのは、
- 正しいスキンケアを続けること
- 症状に合わせて適切な薬を使うこと
- 困ったときは主治医に相談すること
です。
「少しでもかゆみを減らし、元気に遊び、ぐっすり眠れる毎日を目標に、一緒に治療を続けていきましょう。
