子どもに多い病気
IgA血管炎(ヘノッホ・シェーライン紫斑病)
1.どんな病気?
IgA血管炎は、全身の細い血管(毛細血管)に炎症が起こる病気です。
以前は「アレルギー性紫斑病」や「ヘノッホ・シェーンライン紫斑病(HSP)」と呼ばれていました。
小児では比較的よくみられる血管炎で、特に4~10歳頃に多く発症します。
多くの場合、かぜなどの感染症のあとに発症し、皮膚・関節・腸・腎臓に症状が現れます。
原因は完全にはわかっていませんが、「IgA」という免疫物質が血管に沈着し、炎症を起こすことが関係しています。
2.どんな症状?
IgA血管炎には「3つの主な症状」があります。
① 紫斑(しはん)
最も特徴的な症状です。
- 脚やおしりに左右対称に出ることが多い
- 赤紫色のポツポツやあざのような発疹
- 押しても消えない
- 少し盛り上がって触れることがある
ほぼすべての患者さんにみられます。
② 関節の症状
- 膝や足首の痛み
- 関節の腫れ
- 歩きにくくなる
- 一時的に歩けなくなることもある
関節に後遺症が残ることはほとんどありません。
③ お腹の症状
- 急に強くなる腹痛
- 吐き気、嘔吐
- 血便
腹痛が紫斑より先に現れることもあります。
④ 腎臓の症状
発症後数週間~数か月して現れることがあります。
- 尿に血が混じる(血尿)
- 尿にたんぱくが出る(蛋白尿)
- むくみ
小児の約30%で腎炎を合併するとされており、長期的な経過観察が大切です。
3.どう診断する?
診断は主に症状から行います。
◇診断のポイント
- 特徴的な紫斑
- 関節痛や関節腫脹
- 腹痛や消化器症状
- 尿検査異常(血尿・蛋白尿)
これらを総合して診断します。
小児では典型的な症状があれば、必ずしも皮膚生検は必要ありません。
4.検査は?
1) 尿検査
最も重要な検査です。
- 血尿
- 蛋白尿
がないか確認します。
2)血液検査
- 炎症の程度
- 貧血の有無
- 腎機能
などを確認します。
3)腹部超音波検査
強い腹痛がある場合は、
- 腸重積
- 腸管の腫れ
などを確認します。
5.受診する目安は?
◇早めに受診してほしい症状
- 脚やおしりに原因不明の紫斑が出た
- 紫斑と一緒に関節痛がある
- 紫斑と一緒に腹痛がある
◇すぐに受診してほしい症状
- 強い腹痛
- 繰り返す嘔吐
- 血便
- ぐったりしている
- 尿が少ない
- 顔や足のむくみがある
腸重積や重い腎障害の可能性があります。
6.治療法は?
◇軽症の場合
多くの子どもは自然に良くなります。
- 安静
- 水分摂取
- 痛み止め
などの対症療法が中心です。
◇腹痛や関節痛が強い場合
- ステロイド薬
特に腹痛の改善に有効なことがあります。
◇腎炎を合併した場合
- ステロイド治療
- 免疫抑制薬
- 腎臓専門医による管理
が必要になることがあります。
◇経過観察がとても大切!
皮膚の症状が良くなっても安心はできません。
腎炎は発症後しばらく経ってから見つかることがあり、定期的な尿検査が必要です。
特に発症後数か月間は、医師の指示に従って経過観察を続けましょう。
6.パパ・ママへのメッセージ
IgA血管炎は、突然あざのような発疹が出たり、強い腹痛を訴えたりするため、とても心配になる病気です。
しかし、多くのお子さんは後遺症なく元気に回復します。
一方で、大切なのは「紫斑が治ったから終わり」ではないことです。
腎臓の異常は見た目ではわからず、尿検査で初めて見つかることがあります。
定期受診と尿検査を続けることが、お子さんの将来の腎臓を守るためにとても重要です。
ほとんどのお子さんは元気に回復しますので、過度に心配しすぎず、気になる症状があれば早めに小児科へご相談ください。
