成長発育外来

“一生に一度の成長”

当院では成長発育に関する専門外来(保険診療)を行なっています。

低身長とは?本当に『いつかは伸びる』のか?

 低身長とは、一般的な人々よりも大幅に身長が低い状態を指します。ただし、背が低いからといって必ずしも病気であるわけではありません。個人差が大きく、遺伝的な要因も影響しています。低身長には、病気が原因のものとそうではないものがあります。病気が原因である低身長を「低身長症」と呼びます。低身長症を起こしている病気によっては、低身長以外の異常や障害を合併する場合もあります。

低身長の原因は?

 低身長のほとんどは遺伝(家族性)や体質によるものです。しかし、成長ホルモンが出ていない場合や甲状腺の病気、染色体や骨の病気によって伸びない場合もあります。また、在胎週数に比べて小さく生まれて、その後の身長があまり伸びないタイプの低身長もあります。

1.ホルモン分泌異常によるもの(内分泌疾患)
成長ホルモン分泌不全性低身長症、甲状腺機能低下症、性腺機能低下症、思春期早発症、クッシング症候群など

2.染色体異常などを伴う症候群
ターナー症候群、プラダー・ウィリー症候群、ヌーナン症候群など

3.骨・軟骨の病気(骨系統疾患)
軟骨無形成症など

4.出生時の状況と2歳以降の低身長
SGA性低身長症

5.内臓疾患や栄養不足に伴うもの
心疾患、腎疾患、過剰な運動、摂食障害、クローン病など

6.社会・心理的要因によるもの
愛情遮断性低身長など

7.体質的な要因によるもの
体質性(家族性)・特発性低身長

わが子が小さいと感じたら?(身長のことが気になったら?)

・うちの子は、小さく生まれたまま、ずっと小さい。
・同年齢・同月齢の子どもと比べると、いちばん小さい。
・このごろ、背の伸びが悪くなっている。
・自分が小柄なことに不安を感じている。
・学校健診で成長について指摘を受けた。

そんな時は放置せずに身長や体重の記録を集め、成長曲線を描いてみましょう。
そして、以下の場合には、是非ご相談ください。

・現在の身長が-2SD以下の場合。
・現在の身長が-2SD以下でなくても、最近1〜2年間で基準の線から下がってきている場合(身長SDスコアが徐々に低下している場合)。
・平均以下の身長なのに、男の子で11歳以下、女の子で10歳以下で身長の曲線が上向きになってきている場合(思春期早発症の可能性があります)。
・現在の身長が-1SD~-2SDの場合は、問題がないことがほとんどですが、ご心配な場合は今後の成長の予測も含めて一度ご相談ください。

注意!背が伸びる期間には締め切りがあります。

 子どもの骨は、独特なペースで徐々に大人の骨に変化(成熟)しながら伸びていきます。そしてすっかり大人の骨に成熟してしまったら(骨端線が閉鎖したら)もうそれ以上は伸びません。つまり、背が伸びることが出来る期間には締め切りがあり、「そのうち伸びる」といつまでも放置してしまったら、伸びるタイミングを逸してしまう可能性があります。身長のことが気になったら、早めにご相談されることをお勧めします。お子様は治療できる低身長かもしれません。

成長発育外来の受診について

・専門外来枠の「成長発育外来」にご予約ください。
・事前WEB問診で、生まれた時の状況や既往歴、発育歴、家族の体格についてお答えください。
・事前に成長曲線を作成されていましたら、受診時にご持参ください。
・母子手帳や保育所、幼稚園、小学校、中学校などでの成長の記録(測定した年月日と身長・体重)がありましたらご持参ください。

診察と検査

・成長の記録(成長曲線)や現在の体格、診察により精査が必要かを判断します。
・手根骨レントゲンや血液、尿検査を行い、病気がないかを調べます。
・成長ホルモンに関する精密検査(成長ホルモン分泌刺激試験)や染色体検査(遺伝学的検査)を行う場合もあります。

治療について

 精査によって、成長ホルモン補充療法やその他のホルモン治療の適応を検討します。もし、治療の適応とならなかった場合でも、定期的に成長をフォローすることで、有益な情報を提供できる場合がありますので、その後の定期フォローをお勧めしています。

1.成長ホルモン療法の適応がある疾患
 成長ホルモン分泌不全性低身長症。ターナー症候群、プラダーウィリー症候群、ヌーナン症候群、SGA性低身長、軟骨無形成症など

2.その他の治療の適応がある疾患
 軟骨無形成症(軟骨無形成症治療薬)、甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモン補充治療)、中枢性思春期早発症(性腺抑制療法)など